哲学科卒美大中退フォト/ビデオグラファーのアート全域鑑賞記録

アート全般に関するフランクな考察、感想が読みたいなと思ったのでまず自分が書いています

映画『魂のゆくえ』考察

 

良い映画だったけど、最後に愛に救われるのか?

ぼくが掬い切れていないせいか。そんなことで終わるのかと思う。

 

 

夫婦が2つの思想、進路の鏡になっている。もう人類は行き着くところまで行き着いたと、武力行使で抵抗するか、それでも希望をもってできる限りの行動を続けていくか。牧師は2つの間に立たされる。

 

結果として牧師は夫を助けるために相談を受けたが飲み込まれ、その妻の方に救い出される。

 

だが、助けの手を差し伸べる元妻を罵るような男が新しいパートナー、それも夫を救い出せなかった女と手を取り合ってうまく行くのか。解決は一時的なものでしかないようにも感じられる。

 

 

この映画の後のことまで考えてみると牧師は自殺した夫と同じように自問自答し続け、妻の横で葛藤し続けることになるだろう。そして、自殺する。

この繰り返しになる可能性が高いように思われる。 もしそうでないならば、この映画が描いたものが正しい愛を見出すこと、パートナーを見つけることが大事って話になってしまうんじゃないか?

 

 

・この作品のテーマ

正義とは何か、なのか

ある観点から考え始めて結論づけられる正しいことも、世間的には圧倒的な悪になりうる。

 

 地球規模のことを考えた正しい思想や行動も、より小さな規模である社会の中で裁かれる。その際に地球規模のことは判断の材料にはならない。奇妙な話。

 地球の一部については所有者が明確で被害を受けるものも責任を負うものも明確にできる。しかし、地球全体になると誰が誰に被害を与えたかは特定できないし、それを裁く立場も存在しない。

 

 神が人間を裁くのであれば彼がテロを起こした場合に一体どう裁かれるのかはわからない。社会的な基準での真理は絶対的なものではないということを思い起こさせる。

 

より広い視野と知性を持つほどに思想と実際に選択可能な行動との間には距離が開いていく。物事の判断はいくつものレイヤーにおける障害や矛盾にぶつかっていく。